たくろぐ!

世界一のチラ裏

俺のフレンチが成功した本当の理由【フードマーケティング】

立ち飲みスタイルからの脱却

俺のフレンチといえば、
言わずと知れた立ち飲みスタイルで
高級食材を使った料理がリーズナブルに
食べられるレストランですよね

その「俺の」レストランが
今やフレンチのみならず
イタリアン、揚子江、割烹、
スパニッシュ、焼き鳥、焼肉、
さらにはベーカリーやうなぎなど
新業態を続々と出店している

その進化は以前テレビで引っ張りだこ
だった当時と比べても際立っている

というのは数年前までは
1ヶ月前から電話予約しないと
座ってゆっくり食事することが
できず立食が当たり前だったのだが
今や新業態も含め立食スタイルは
むしろ少数になっているのだ

なぜ立食スタイルをやめたのか

現在は俺のフレンチ銀座本店ですら
全席着席形式というもはや今までの
メディア戦略はなんだったんだという
様変わりで前評判を聞いて気合いを
入れて入店した方は拍子抜けだろう

この立食スタイルからの脱却が
僕は成功し続けてきた理由だと思っている

というのは結局"奇をてらう"のは
奇襲戦でこそ効果はあるが
奇襲戦はいつまでも続かないからだ
一度戦略が敵に伝わってしまえば
もう二度と奇襲戦は通用せず
対策を取られてしまうのがオチなのだ

そのことを俺のシリーズの
社長はよく知っていて、
あくまでもメディア戦略として
立食スタイル×客回転数の法則を
導き出して露出度を高め
客足が落ち着く前に着席スタイルに
鞍替えしてカジュアルフレンチの
セグメントを不動のものにしたのだ

ランチェスター戦略

なぜ奇をてらった戦略が長続き
しないのか、それは
長く研究されてきた歴史を
紐解くことで説明することができる

大手は物量や事業投資によって
ベンチャーが入り込むスキを
与えないことが至上命題であって
手広く事業展開するのが
一番効率的であるとされる

例えて言うなら大手にとっては
規模の経済を生かした
マスマーケティングが効果的で、
「○○(商品・サービス)なら××(会社名)」
を消費者に想起させるのが大切だ

一方ベンチャーなどの中小・零細企業が
巨人と対等に勝負するためには
「局所優勢」という考えた方が大切だ

この考え方は戦争理論の研究をしていた
イギリス航空科学の研究者である
F.W.ランチェスターが提唱した
「戦闘の法則」がもとになっている

10分でわかる! 競争戦略のバイブル「ランチェスター戦略」第1章ランチェスター法則と弱者の戦略、強者の戦略 | ランチェスター戦略

つまり物量も兵力も劣るベンチャー企業
局所戦法でゲリラ戦を仕掛けるのが
一番有効だということであって、
俺のフレンチはまず
「立食スタイル×客回転数」という
ゲリラ奇襲作戦によって大手飲食店グループの
寝首を掻くことに成功したのだ

そしてもっと大切なことだが
奇襲戦はあくまで大手の寝首を掻くことが
大切なのであっていつまでもその戦略が
通用するわけではなく、
メディア露出と認知度を集めた段階で
大手戦略に舵取りをすることで
安定した経営をすることが可能になる

実は大手にとって奇襲戦を仕掛けることの
メリットはかなり小さく、さらに
下からの意見を吸い上げるボトムアップ
苦手な大手企業から新しいアイディアは
生まれにくい

それに対して創業者社長が経営する
ベンチャートップダウンなので
奇襲作戦が成功したあとも社長の
鶴の一声で短期間で大きく路線を
変更することが可能なのだ

この舵取りをした坂本社長の功績は大きい
メディアとはまさにこの戦略のための
ツールであって、それ以上でもそれ以下でも
ないことを証明してくれた

ひと昔前のメディアの言う
「立食×客回転」の法則は今や
俺のレストランのうわべを飾る
美辞麗句にすぎないのだ

まとめ

飲食店にとって経営に占める
マーケティング戦略の比重はかなり大きい

料理の味も大切だがどうしたら
お店に来てもらえるかというのは
緻密に計算された経営者目線の
戦略なくして成し得ない

料理人と経営者というのは
特に毛色が違う人種なので
バランス感覚を養うのはとても大切だ

俺のフレンチは飲食店における
マーケティングの教科書にできる好例だ

僕が話しただけでなく
いろいろな切り口で俺のフレンチを
分析してみてほしい

コメントにて質問してもらえれば
回答するのでぜひ有効活用してね!